おはなしの森

日々を過ごし感じること、思い浮かぶこと。世界はたくさんの物語で溢れている。

姿なき訪問

 

 

朝起きて、カーテンを開ける

 

太陽の柔らかい光が部屋の中へと降り注ぐ

 

ひとつ、大きく深呼吸して

リビングにある大きなソファーへとダイブする。

 

何の変哲もない天井を見つめてボーッとしていると、窓の外から

 

「ホーホケキョ。」

 

と声がする。

 

「ホケキョ。」

 

なんとなく返してみた。

 

「ホーホケキョ。」

「ホケキョ。」

「ホーホケキョ。」

「ケキョケキョ?」

「ホーホケキョ。」

「ホケキョ。」

 

しばらく姿の見えない可愛いお友達とお話をしていると、窓の外からバサバサッという羽ばたきの音がしてそれっきり声は聞こえなくなった。

 

 

「ホーホケキョ。」

 

いってらしゃいを込めて最後に一言つぶやいてソファーから体を起こす。

 

うーーんと伸びをして、支度を始める。

 

うん。今日もきっと、とてもいい日だ。

 



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