おはなしの森

日々を過ごし感じること、思い浮かぶこと。世界はたくさんの物語で溢れている。

雨も私たちもみんなみんな

 

 

空で産まれた水滴たちが

地上へと降り注がれる

 

ザァーっと音を立てて降り立った水滴たちは

地球に深く深く浸透してき

思い思いの時間をかけて海や川へでる

 

そうしてギラギラと照らす太陽の光に導かれて

上へ    上へ

帰っていくのだ

 

思い思いの月日をすごして

いつの日かまた地上へと降り注ぐ

 

私たち人間も

いつかは何処かに帰っていくのだろうか?

 

思い思いの時間をかけて

様々な道を辿って

みて、きいて、感じとって

 

巡る  巡る  世界の中を

巡る  巡る  私たちの知らない世界でさえも

 

そうして生きている今を大切にしたい


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【短編】その香りの導く先に

 

温められたポットにお湯を注ぎ2分ほど蒸らす。 

お気に入りのティーカップを戸棚から出して、そこに抽出された紅茶を注いでいく。

華やかな香りがふわりと辺りに広がった。

心安らぐやさしい香りに満たされる。

 

「香りと記憶は深く結びついているらしい。」

 

唐突に紡がれた言の葉に、顔を上げて彼の方へ振り返ると彼の真っ直ぐな瞳が私を見ていた。

 

微笑んでる彼の元へゆっくりと近づき、カタリと紅茶をテーブルの上に並べて私も彼の傍らに椅子を引き寄せて座る。

 

「なあに?急に。」

 

「この間読んだ本にね、そんな事が書いてあったんだ。匂いで記憶を思い出したり、フラッシュバックしたりするんだって。それくらい嗅覚と記憶は密接な関係にあるらしい。」

 

私の疑問に答えながら彼はティーカップを口元に近づけ、そして深く眉間にシワをよせた。

その様子に思わず笑いが溢れる。

 

「無理に飲まなくてもいいよ。苦手なんでしょう?」

 

「けれど、君はこれが好きでしょう?毎日飲んでるって言ってたよね?香りが好きでやめられないって。」

 

思いの外真っ直ぐと強い言葉で返されて、「そうだけど。」と口ごもってしまう。

彼はそんな私の様子を横目に紅茶を一口飲み込んだ。

 

ふわりと香る紅茶の香り。

華やかで心安らぐやさしい香り。

私の大好きなお気に入りの香り。

 

「さっきの話に戻るんだけどね。香りは記憶と深く結びついているんだ。」

 

規則的な音が、何処からか微かに響いているような気がする。

 

「君は毎日、この香りをかいでいる。この紅茶が大好きで手放せないって何度もその話を聞いた。」

 

白。白。視界に白が侵食していく。

彼が目を伏せて、自嘲気味に言葉を紡いでいく。

 

「・・・僕は酷い夫だね。普通はこういう時早く忘れてって言うのに。僕はどうしても、君に忘れて欲しくないんだ。」

 

大好きな香りに混ざる大嫌いな香り。

消毒と薬品の匂いが辺りへと広がっていく。

目の前の彼はたくさんの管やらコードへと繋がれている。

 

「君の大好きな香りの中で君と共に生きていたいってそう思ってしまった僕をどうか許して。」

 

ガチャンッ!!!!

 

大きな音にハッとするとそこは自宅のテーブルの前で、足元にはティーカップが割れてしまっている。

 

辺りに充満する華やかな紅茶の香り。

足元にできた水たまりにパタパタと耐えず雨が降り注ぐ。

 

「・・・そう。ここにいるのね?」

 

なくしてしまったと思っていた。

もう二度と手に入ることは無いのだと。

 

「ここに、・・・いるんだわ。・・貴方が。」

 

胸元をグッと握りしめ泣きながら微笑む。

酷い夫だなんてとんでもない。

私の記憶の中で共に生きてくれるなんて。

 

「世界一、最高の夫だわ。」

 

 

 

【短編】その香りの導く先に

 

温められたポットにお湯を注ぎ2分ほど蒸らす。 

お気に入りのティーカップを戸棚から出して、そこに抽出された紅茶を注いでいく。

華やかな香りがふわりと辺りに広がった。

心安らぐやさしい香りに満たされる。

 

「香りと記憶は深く結びついているらしい。」

 

唐突に紡がれた言の葉に、顔を上げて彼の方へ振り返ると彼の真っ直ぐな瞳が私を見ていた。

 

微笑んでる彼の元へゆっくりと近づき、カタリと紅茶をテーブルの上に並べて私も彼の傍らに椅子を引き寄せて座る。

 

「なあに?急に。」

 

「この間読んだ本にね、そんな事が書いてあったんだ。匂いで記憶を思い出したり、フラッシュバックしたりするんだって。それくらい嗅覚と記憶は密接な関係にあるらしい。」

 

私の疑問に答えながら彼はティーカップを口元に近づけ、そして深く眉間にシワをよせた。

その様子に思わず笑いが溢れる。

 

「無理に飲まなくてもいいよ。苦手なんでしょう?」

 

「けれど、君はこれが好きでしょう?毎日飲んでるって言ってたよね?香りが好きでやめられないって。」

 

思いの外真っ直ぐと強い言葉で返されて、「そうだけど。」と口ごもってしまう。

彼はそんな私の様子を横目に紅茶を一口飲み込んだ。

 

ふわりと香る紅茶の香り。

華やかで心安らぐやさしい香り。

私の大好きなお気に入りの香り。

 

「さっきの話に戻るんだけどね。香りは記憶と深く結びついているんだ。」

 

規則的な音が、何処からか微かに響いているような気がする。

 

「君は毎日、この香りをかいでいる。この紅茶が大好きで手放せないって何度もその話を聞いた。」

 

白。白。視界に白が侵食していく。

彼が目を伏せて、自嘲気味に言葉を紡いでいく。

 

「・・・僕は酷い夫だね。普通はこういう時早く忘れてって言うのに。僕はどうしても、君に忘れて欲しくないんだ。」

 

大好きな香りに混ざる大嫌いな香り。

消毒と薬品の匂いが辺りへと広がっていく。

目の前の彼はたくさんの管やらコードへと繋がれている。

 

「君の大好きな香りの中で君と共に生きていたいってそう思ってしまった僕をどうか許して。」

 

ガチャンッ!!!!

 

大きな音にハッとするとそこは自宅のテーブルの前で、足元にはティーカップが割れてしまっている。

 

辺りに充満する華やかな紅茶の香り。

足元にできた水たまりにパタパタと耐えず雨が降り注ぐ。

 

「・・・そう。ここにいるのね?」

 

なくしてしまったと思っていた。

もう二度と手に入ることは無いのだと。

 

「ここに、・・・いるんだわ。・・貴方が。」

 

胸元をグッと握りしめ泣きながら微笑む。

酷い夫だなんてとんでもない。

私の記憶の中で共に生きてくれるなんて。

 

「世界一、最高の夫だわ。」

 

 

 

【短編】川の上にいるものは

 

ジジジジジッ。ミーンミンミンミンミン。

セミのコンサートが開催される中、私と仲ちゃんは2人カウンターに座っている。

 

太陽はサンサンと降り注ぎ世界に熱を送り続け、その熱がじわじわと入り込んでくるガラス張りの建物。

そこに私と仲ちゃんはかれこれ3時間ほど座っている。

客足は全くなく、2人で眺めるガラスの先の道にも見渡す限り人の気配が全くない。

 

「こんなくそ暑っつい日にさ、出歩く人なんていないと思わない?」

 

ため息と共にそう吐き出せば仲ちゃんは「そうですねぇ。」と曖昧に笑って見せる。

 

「お客さんもさ、みんな涼しいところに退避してるって。来ないんだから帰ってもいいと思わない?」

 

今度はにっこりと笑顔を貼り付けて意気揚々とそう言ってみるが先程とは違い仲ちゃんは少し怒ったような顔を作り

 

「ダメですよ。一応人がいないと。」

 

と言った。それに「はーいママ。」と返してカウンターにぐでっと倒れ込む。

人が沢山来て忙しいのは嫌いだが、誰も来なくてやることが無い暇な時間を過ごすのも嫌いだ。

じっとしているのは性分に合わない。

せめてスマホがいじれればなーとカバンの方に目線をやると、すかさず「ダメですからね。」と仲ちゃんから叱責が飛んできた。

「うぇー。」と不満げな声を上げて手足をばたつかせると仲ちゃんは困ったようにこちらを見て、そして

 

「あ、ほら、川の方を見てみてください。たくさんの兎さんが海に向かって大移動してますよ!!」

 

と言った。

 

「·····暑さにやられちゃったの?お水飲む?」

 

心配になって足元に置いていたお水を差し出すと

 

「違いますよ!ほらアレ!」

 

と道の奥の方に見える大きな川を指さした。

しかし彼女の言ううさぎなどどこにも見えない。

 

「どれ?」

 

全く分からなくて首を傾げながらそう訪ねると仲ちゃんは嬉しそうに笑いながら

 

「風に煽られてたっている波が白いうさぎが跳ねてるように見えませんか?」

 

と言った。

再度川へと視線を向けると、確かに波がパシャパシャと飛沫を立ててる様子は白いうさぎが跳ねてるように見えなくも、なくなくも、ないことも無い·····、か?

 

「仲ちゃんって真面目でしっかりしてるのに、たまにすごくメルヘンだよね。」

 

ふふっと笑いながらそう言うと仲ちゃんはムッとして

 

「暇を潰せるように話題を振ってあげたのに。」

 

と、少し拗ねたように言った。

 

「ごめん、ごめんて。·····で?そのうさぎさんはなんで海に向かってるの?」

 

どうせ暇だし、時間が余っているのだから彼女の提供した暇つぶしに乗っかってみようと続きを促してみる。

 

「月に帰るためだよ。」

 

「·····月に?」

 

返ってきた言葉が予想と違くて目をぱちくりと瞬いてしまう。

 

「月に行きたいのになんで海に行くの??」

 

意味がわからなさ過ぎて尋ねると、仲ちゃんは

 

「小さい頃歌ったでしょう?

海は広いな、大きいな。月が上るし日が沈むって。

月のうさぎたちは海から月に搭乗してそれで空へと昇っていくの。」

 

と少し得意げに笑いながら言う。

 

「·····それは盲点だった。

月の兎は、最初から月に住んでいるとばっかり思っていたけれど地上のうさぎだったのか。」

 

思わず感心したように言葉が溢れた。

 

「きっと、地上の選ばれた兎だけが月へと上がれるの。十五夜の日に1番高く跳ねれた兎とか!」

 

「なるほど!面白いね!」

 

仲ちゃんの発想力は私には無いもので、話を聞くだけでもこんな考えがあるのかと驚かされることが多い。

 

「もうひとつ疑問あるんだけど聞いていい?」

 

「何?ドーンと聞いてよ!なんでも答えちゃうよ!」

 

結構、序盤から気にはなっていた事を言う仲ちゃんがなんて答えるのか聞いてみたくて聞いてみることにした。

 

「あれ、海から来てる風だからさ波がたってるのは海と反対方向なんだけど。そこんとこどう思いますか?」

 

そうなのだ。強く吹いているその風は海風で、仲ちゃんの言う兎さんはみんな海を背に移動しているのだ。

 

 

 

「··········。帰宅ラッシュ?」

 

「あッは!メルヘンどこ行ったの!!!」

 

 

神妙な顔でボソリと呟かれた答えに腹筋が崩壊した。

 

ケタケタと笑い転げる私に仲ちゃんは「別にメルヘンな事言おうと思ってないもん」と少しむくれてしまう。

 

「じゃあさ、じゃあさ!!」

 

なんだか楽しくなってきた私は次から次へと仲ちゃんへとあれはどう思う?これはどう思う?と質問を重ねていく。

 

忙しいのは嫌いで、暇で何もやることがない時間も嫌いだし

結局この日はお客さんは来なかったけれど、

 

それでも、楽しく充実した時間を過ごせたなと確かに実感した一日だった。



 

 

 

 

 

 

私は見つめ直す。どう生きたいのか

 

 

気がつけば、仕事に忙殺されている。

 

働いて、働いて、働いて

休みの日は泥のように眠りについて。

 

月日がものすごい勢いで過ぎ去っていく。

ふと我に返り呆然とする

 

一体、何をしているのだろう?

私がしたかった事は一体なんだっただろう?

 

そんな時、とある言葉に出会った。

 

「我々は消費主義に支配されている。」

 

何かを買うために、お金を払うために

日夜働いて、働いて、働き続ける。

 

働くために生きている訳では無いのに。

生きるために働いているはずなのに。

 

気がつけばお金を稼ぐ事を考えて毎日を生きている。

 

 

「貧しい人とは、少ししかものを持っていない人の事ではなく。

もっともっとといくらあっても満足しない人の事だ。」

 

その通りだと思った。

欲望は際限なくて、見上げればどこまでもどこまでも上がある。

上を見上げて

 

あそこまで登りたい

いや、もうちょっと上まで

もっと行けるはず

 

そうして私たちはいつまでもいつまでも登り続ける

 

それはきっと悪いことではないし、むしろ大切なことでもあるのだろうけれど

 

けれど、見上げ続けすぎて周りや下に溢れている

素敵なものや素晴らしい人々を 自分の登ってきたその道筋を見られなくなってしまうことはなんて悲しいことなのだろうと思う。

 

幸せの定義は人それぞれだから、何が正しいとかはないけれど

少なくとも私は脇目をふらず一心不乱に登り続けると言うよりは

もう少し周りを見渡したり、堪能するような余裕を持てるようになりたいと思った。

 

元々、器用な方ではないのだから。

あれも、これもという生活は向いていないのだろう。

 

お芝居が好き。

書く事が好き。

表現が好き。

 

それらを続けていけるのならば私はきっと幸せだと感じられるのだから。

 

立ち止まり、深呼吸をして、そうしてよくよく考えて

 

そしたらさぁ、ここからまた一歩。

 

幸せのために歩き始めよう。

 


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ここに

 

 

私は何を書きたいんだろう

何を残したいんだろう

この場所に   

この世界に

 

衝動的にやってくる

「書かなきゃいけない」という衝動は

一体、どこからやってくるのだろう

 

知らせたい

知って欲しい

見て欲しい

感じて欲しい

 

私がそう思っているのだから間違いなく私からか湧き出ているのだろうけれど

 

それでも時おり、何かに 、誰かに

揺すぶられているような気がするのだ

 

それはもう1人の私のようでもあるし

全くの別人のような気もする

古くからよく知っているような気もするし

全く知らないような気もする

 

奇妙な感覚だし、よく分からないからモヤモヤしてしまう

 

けれど不思議と心地よくもある

 

揺すぶられたそれに背を押されポツポツと文字を生み出すと、体の奥底から高揚感が登ってくる

マグマのように   ゆっくりと

 

そうして作品を生み出しているその瞬間

確かに私は幸せを感じているのです

 

不思議でおかしなその瞬間

 

次はいつ来るだろうか。

また、書けるかな?

 

そわそわ、わくわくしながら

今日も私は問いかけます

 

私は何を書きたいんだろう

何を残したいのだろう

この場所に

この世界に

 

 

 

 

 

 

 

私の課題

 

やりたい事がたくさんある。

やらなきゃいけないこともたくさんある。

 

あっちも、こっちもとバタバタ過ごして

気がついたら夜になっていて、沈むように眠りに落ちる。

 

1日、2日。

なんだか充実した毎日を送っている気になっている。

 

3日、4日

少し疲れてきた。ボロボロとミスが見つかる。

 

5日、6日

上手くやれている気になっていただけだと落ち込む。

手の回ってないことに気がつきテンパる。

 

7日

なんか全てがめんどくさくなり何も手につかなくなる。

 

感情というものは本当に扱いずらいものだと思う。

調子が良くて色々上手く行っていると思っても1日2日経てば気持ちは底辺まで落ちていることもある。

 

自分のことなのに、上手くできないことがもどかしくてこんなことも出来ないと落ち込んでしまう。

 

自分の気持ちや自分自身と向き合うこと

 

これはきっと私の壁である。

乗り越えなくてはいけない大きな大きな壁。

 

しんどいし大変だし、先が見えない。

 

けれど、そこをぬけた時。

きっと私の前には新しい世界が広がっている。

 

見たい。その先を。

 

行きたい。その先へ。

 

期待と不安と恐怖を胸に私は今日も壁へと向き合っている。

 


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