おはなしの森

日々を過ごし感じること、思い浮かぶこと。世界はたくさんの物語で溢れている。

2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

【短編】おともだち

「幽霊になったら何がしたい?」 唐突にかけられた声に、チラリと横に座る男に目を向ける。 「・・・・・・。」 「え?無視?無視は酷いよ!」 ニコニコ笑う男から視線を本に戻すと、男は隣で大袈裟に身振り手振り使って邪魔してくる。 「勝手に隣に座らないでくれ…

日常の非日常

ごおぅん。ごおぅん。 一定の間隔で、低い音が響いている。 ごおぅん。ごおぅん。 低い低いその振動は私の体をビリビリと揺らしている。 ごおぅん。ごおぅん。 いま、私はどこにいるんだろう? なにをしていたんだっけ? ごおぅん。ごおぅん。 チカチカとま…

お昼寝

青く透き通るお空からサンサンと太陽が降り注ぐ ベランダの窓を開けて、その太陽を家の中へと招き入れた。 照らされている畳の上に寝そべり、大きく深呼吸をひとつ。 視界に広がるのは、綺麗な青と ゆるりと移動していく白い雲たち どこからが聞こえる、鳥た…

【短編】鳥と黒猫とお月様

星が輝き、三日月が見守る中に鳥籠がひとつ。 ゆらゆらと揺れている。 鳥籠の中には 黄色い体に鮮やかなオレンジの嘴と羽をもった鳥が1羽。 鳥籠と共にゆらゆらと揺れている。 その下には、揺られる鳥籠を見つめる1匹の黒猫。 「ねぇ、そこは狭いでしょう?…

はじまり

瞼をゆっくりと持ち上げる 視界に入ってきたのはぼんやりとした世界。 薄暗く、ゆらゆらと光が揺れている。 とっとっとっ 様々な音が聞こえる中で一際大きく聞こえている一定のリズムで刻まれた音にとてつもない安心感を覚えてゆっくりと瞬きをした。 ときお…

私だけの大切な

順位をつけるのが苦手だった。 大切なもの すきなもの おきにいり 私の中にそれは沢山あって、世界にもそれは溢れかえるほど沢山あるのに みんなが言う 「どれが1番いい?」 と。 1番ってなんだろう。 何にでも、いい所と悪いところがあるのに。 どうやって1…

【短編】ときはなつ

青。 蒼。 碧。 あお。 真白くそびえ立つソレを睨みつけていた数分前とは打って変わって僕はひたすらに腕を動かす。 黄色に、 赤に、 白。 みどり。 時々、黒。 上から下へ。 円を描いて。 叩きつけて、 はね上げる。 一瞬足りとも、脳内に焼き付いたソレを…

ゲームのはなし

私は飽き性である。 なので、ゲームはやるよりも見ている方が好き。 なぜなら、レベル上げやらなにやら細々していることが面倒くさく飽きてしまうからだ。 私は壊滅的にゲームに向いていない 最初の1、2週間のめり込んでやり込んで、ストーリーが進まなくな…