1歩踏み出す度に、足元でカサリと音が鳴る。
カサリ。
カサカサ。
カサカサリ。
その道本来の姿を覆い隠している落ち葉たちから視線を上げて前を見た。
真っ直ぐ伸びている黄色っぽい落ち葉の絨毯。
それに寄り添うように両端には随分と寒そうになった木々が等間隔で並んでいる。
いつもとは随分違うその道の雰囲気に通学途中の子供たちが目を輝かせて走り回り、蹴り上げられてひらひらと舞い上がる落ち葉の間に楽しそうな笑い声が響いていく。
ズボリ。
なんとなく己の足先を深く落ち葉へと沈めて「おーい、いくぞー。」と子供たちへ声をかけるとこちらの意図を察した子供たちがわらわらと集まり期待に輝いた瞳を向けてくる。
「「「せーーーのっ!!!!」」」
元気な子供達のかけ声に合わせて思いっきり足を振り上げる。
ぶわっ!
視界一面にたくさんの落ち葉が舞うと同時に今朝1番の歓声が子供たちから沸き上がった。
大はしゃぎで飛び回る子供達の声に、自然と混じる自分の笑い声。
「もう1回!もう1回!」の声に応えて何度か落ち葉を降らせてやる。
その度に大はしゃぎする子供達の声に、気がつけば身体は暖まっていて、頬に突き刺さるようだった風が優しく熱を冷ましてくれていた。
「ほら!もうおしまい。」
何時までも終わらないもう1回コールにそう切り出せば子供たちから不満そうな声が響く。
「お前ら学校だろ?遅刻するぞ。」
そういえば子供達は途端にバタバタとかけていく。
口々に「またねー!」と律儀に挨拶していく子供たちに片手を上げて応えて見送り、己の肩や背中に乗っかる落ち葉たちを払う。
途端に静かになったその道で深呼吸をして、歩き出す。
カサリ。
カサカサ。
カサカサリ。
自然の音楽を聴きながら、力強く足を踏み出していく。
さあ、今日も元気に。
行ってきます。