おはなしの森

日々を過ごし感じること、思い浮かぶこと。世界はたくさんの物語で溢れている。

2022-01-01から1年間の記事一覧

【短編】子供たちに宝物を

いい子のところにはサンタさんがやってくる。 チラチラとお空から雪が訪れる頃、シャンシャンと軽やかな鈴の音と共に。 お友達のトナカイと一緒に凍てつく寒い夜に暖かなロウソクの火のようなお洋服をまとってみんなの元にやってくる。 すやすやと寝静まる子…

【お題短編】小さな教会

【未来・十字架・恩返し】 崩れた建物の中にある大きな大きな十字架の前。 キラキラと色とりどりの光がチラつくその場所で一人の少女が熱心に祈りを捧げています。 「なにをしてるの?」 一人の男の子が少女へと声をかけました。 「許しを乞うているのです。…

【お題短編】大切な宝物

【宝物・レモンクリーム・水】 そっと窓へと手を向ける 外は雨が降っていて、水の筋がたくさん着いていた つーっとスジをなぞるように指を動かす ガラスに反射して、私の姿も窓に写っている 雨に降られ、水に濡れた私が お気に入りのレモンクリームのワンピ…

恐怖と憧れそして夢。

とある天才小説家が主人公の小説を読んだ事がある。 複雑な家庭で育って、不幸のどん底みたいな日々を這いずって書き上げた小説が高い評価を経て一躍有名作家になる。 そうして幸せな日々が少しづつ主人公へと訪れる。 けれど、幸せになればなるほど主人公は…

【短編】人生

死ぬことは恐ろしい 日々身体が衰え、朽ちていくのを実感するのも 今ある意識が消えてなくなってしまうことも 恐ろしくて、恐ろしくて その先にもきっと何かがあるはずだと夢想して みんなそうだと、そうあるべきだと達観して 死に対する無知の恐怖へと立ち…

書きたいのになぁ

ぐるぐる ぐるぐる 文章にならない単語が身体の中で モヤモヤ モヤモヤ 繋がりのないシーンのイメージがふっと浮いては消えていく 形にしたくても、文章にしたくても 手を伸ばすとふわっと消えてしまう 真っ白な紙を睨みつけ、想像の手をあちらこちらへと伸…

【お題短編】小さな来訪者との逢瀬

【ラベンダー、音、稚魚】 風鈴のような可愛らしい音とともにそれはやってくる。 窓の方から入ってくることもあれば、机の引き出しを開けた途端に出てきたこともあった。 その日はなんだか1日上手くいかない日だった。 小さなミスをポツポツと積み重ね、しょ…

ガラスペンで紡ぐ言ノ葉

ペン先にインクをつける。 じわぁ。っとインクがかけ上がる。 はやる心臓を意識しながら紙へとペンを近づけた。 ゆっくりと文字を書く。 紙へとインクが流れ込んでいく。 言葉が生まれる。 想いが、インクとともに髪へと染み込んでゆく。 言ノ葉を紡いで染み…

【短編】物語は星の数ほど

鈴を転がすような虫の声が優しく響く。 そよそよと私の髪を撫でる風が遊んでる。 空に流れる大きな川と優しく見守るお月さま。 ゆったりと流れる時間 。 目を閉じて、深呼吸をひとつ。 耳に届く微かな足音と気配もひとつ。 「こんな時間にお散歩ですか?」 …

【お題を使って短編】いつもここで

今週のお題「ホーム画面」ーーーーーーーーーーーー気がつけば、あなたは私を見てる。 長いこと眺めているわけではないけれど、一日の始まりには必ず私を見るし、電車の中や休憩時間など時間が余ればあなたは私を見つめてる。わかっているわ。 あなたのお目…

議員さんの給料問題について頭良くない私が考えている事

最近よく議員さんの給料について話題に上がっているのを見る。 議員さんの給料はとても高いらしい。 私は、そうは思わない。 だってそれは正当な報酬であると思うから。 日本の代表として、 日本をより良くするために。 時には海外の人と交流や交渉をして、 …

お金の価値。私の価値

生きるためにはお金がいります。 必死に働いて、働いてやっとなんとか生きられる程の資金を頂けます。 物価が上がるということは、それだけ農家さんや製作者さん達が苦労して作り上げているということ。 それだけ私達も苦労しているということ。 モノの価値…

無力な想いのかけら

暖かな光が差し込んで 柔らかな風が毛先で遊んでいる 木陰で猫の親子があくびをひとつ 見上げた空には小鳥たちが楽しそうに飛んで行った 子供たちは笑顔でかけまわり 大人たちがそれを微笑ましそうに眺めている 幸せな光景だ 涙が出るほどに 祈らずにはいら…

寂しくないよ

ほうと一息ついて パチリと瞬きひとつ もはや物置小屋のような部屋のベランダを開いて 雑草生い茂る小さな庭を眺める 見上げた空は高く青くて なんだかとても寂しくなった 明瞭な視界が怖くなり 鼻と耳にのしかかるメガネを片手で雑に外す 途端にぼやけて滲…