おはなしの森

日々を過ごし感じること、思い浮かぶこと。世界はたくさんの物語で溢れている。

黒い穴

 

 

足りない。

 

たりない。

何かが足りない。

 

産まれた時からずっと何かが欠けている。

 

どんなに楽しくても

どんなに笑っていても

どんなに恵まれた環境にいると理解していても

 

それでも

心にはポカリと大きな穴がある。

 

 

暗くて、先の見えない真っ暗闇

 

幼い頃それがどうしようも無いほど恐ろしかった私はその穴を隠すことに必死だった。

 

覆って

重ねて

乗せて

塞いで

掛けて

 

無かったことにしなければ

コレはあってはいけない物なのだと

 

隠して見ないようにして埋めた気になって安心する

 

けれど実際は埋まった訳では無いから、ふとした拍子に自分の穴を思い出し足元が崩れるような心地になるのだ。

 

こわい。

こわい。

こわい。こわい。こわい。

 

その穴が恐怖を産んでいることはわかっているのに、その穴をどうすればいいのか分からない。

 

暴れて、泣きじゃくって、必死に覆い隠して

 

そして気がつく

 

わからないから見ないようにすると

それはずっとわからない

 

わからないことは怖いことだから

私はずっと           怖いままだ

 

それに気がついて愕然として隠す手を初めてやめた

 

今まで逸らしていた穴を塞いでいるもの達を呆然と見つめて

 

それらが

雁字搦めに己を縛り付けているのを見た

 

「なんで私は自分を縛っているんだろう?」

 

震える手でひとつ剥いてみる

 

少し身動ぎができるようになった。

 

もうひとつ引き剥がす

 

呼吸が少し、ラクになる

 

ひとつ、ひとつ、またひとつ

 

知らなくては。

私は知らなくてはいけない。

 

きっとソレが恐いことをおしまいにする第1歩だから

 

少しずつ軽くなっていく身体に

広がる視界に勇気を宿して

 

強く、強く、足を踏み出した

 

きっといつか、私はそこにたどり着ける

 

その時、私は一体  なにを思うのだろう



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やる気は出そうと動くエネルギーが1番、大変

 

自室の天井を見上げ小さく口を開く

 

「あー。」

 

自分いがい誰もいない空間に小さく響く声。

 

窓の外からは車の音や人々のくぐもった話し声が通り過ぎる。

 

(あれ、やらなきゃ。・・・そういえば、他にも・・・)

 

頭の中では自分のやらなきゃいけない事が

 

浮かんでは消え

 

浮かんでは消えていく。

 

あれしよう、こうやってしよう、さあ起きようと

 

動いているのは頭だけで、それはちっとも体へと行き渡らない。

 

原因はわかっている。

分かりすぎるほどにわかっている。

 

しかし、どうしようもない。

 

何時もなら予定でうまっている筈の真っ白な予定帳を思い出す。

そう。アレだ。

 

唐突になくなってしまった予定。

 

しょうがない。しょうがない。と呟きながらゴシゴシと消した。

 

予定帳から色が消えていくのを眺めながら、自分の中からも何かが消えていったのを感じた。

 

そして現在、

 

私はボーッと天井を眺めている。

 

やる事はある。やるべき事も。

頭ではわかっているけれど何故だか体はちっとも起き上がらない。

 

このままではいけない。

このままでは。

何とかしなくちゃ。

 

 

日が落ち始めて、焦るように思考が同じ事を繰り返し繰り返し唱えはじめる。

 

しばらくそんな風に唱えていて、やっと体を起こした時部屋の中は真っ暗で窓の外は静かになっていた。

 

「あぁ、今日もまた 一日が終わってしまった。」



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面白いブログを書くために

 

ブログとは、  

 

面白いものを書くと良いらしい。

 

それを聞いて僕は首を捻り呻いた。

 

「面白い」とは一体なんだ。

 

何をそんなに悩む事があろうかと、あなたは思うかもしれない。

けれど考えて見てほしい。

 

もちろん僕は面白いと感じることは沢山あるし、なんだったらお正月の夜更かしの時なんてそれこそ箸が転がるだけで翌朝、筋肉痛に悩まされるほどゲラゲラと笑い転げたりする。

 

ただ面白いものを書くならば僕はいくらでも書ける自信がある。

 

しかし、ブログに書くような「面白い」事は

 

みんな

 

「面白い」と思う事なのだ。

 

これは難題だ。

 

そもそも僕は笑いの沸点が低いし、

自分が脳内お花畑野郎と言われても仕方がないと思うほどには幸せなやつだ。

 

加えて人間というものはとても単純なものである癖に実に複雑なつくりをしている厄介なやつだ。

 

「個性」という言葉が生まれ、ソレが尊重されるほどに僕達は全然違う。

 

価値観や感性。

 

僕達は共感して理解は出来ても同じものにはなれない。

そう。同じ人間は誰一人としていない。

 

僕達はみな、特別な存在だ。

 

みんながバラバラで違うからこそ、僕はみんなが「面白い」事が分からない。

 

ブログのページを開いて白い画面にウンウンと頭を抱えていると、一部始終を見ていた彼女が「バカじゃないの?」と笑った。

 

「全員が面白いと思うものなんて誰にも書けるわけないでしょ?

世界は広いから、きっと2,3人くらいはアンタの「面白い」に共感する人が出てくるかもよ?

たった1人でも巡り会えたならそれは奇跡みたいなものじゃない?

それだけでやる価値はあると私は思うけれど。」

 

ぽかんと口を開けて彼女を見つめる。

 

目からウロコとはこのような事を言うのだろうか。

パラパラと覆っていた曇りガラスが剥がれ落ち、目の前が明るくはっきりと見えた。

 

「まぁ、好きにしなよ。別に強制されてやるようなものじゃないし。・・・書いたら教えてね?」

 

好きなだけ喋った彼女はニコリと微笑み教室から出ていった。 

 

もう一度白い画面に向き直る。

 

ひとつ、ひとつ。

己の中に溢れた言葉を丁寧に打ち込んでゆく。

 

誰かに聞いて欲しいのだ。

こんな僕の話を。


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働くと言うこと。



ガシャン。ガシャン。ガシャン。

 

断続的に響く機械の音をBGMに黙々と手元の商品にシールを貼っていく。

 

ペタペタ。ペタリ。

 

繰り返し繰り返し、黙々と同じ作業をくりかえしながらぼんやりと考えてみる。

 

私の目の前を過ぎ去っていくこの商品は、

どこの  誰に   どんな風に  届くのだろうか。

 

息子にプレゼントするために、仕事量を増やして頑張るお父さんのもとだろうか?

 

可愛いあの子に心からの驚きと笑顔を届けようとしている青年のところかも。

 

少しでもみんなの助けになるようにと、動き回っている頑張り屋のお姉さんのもとか。

 

 

派遣でやってきて、なんの知識もなく働いて。

 

でもだからこそ、思考は止まらず動き出す。

こうだったら、ああなるかも、だとしたら。

 

広がる想像に心躍らせ、丁寧にシールを貼っていく。

 

それが本当にそうなのかは関係ない。

 

決して高い給料ではないけれど

そうなる可能性が少しでもあるのなら

誰かの素敵なほんの一部に関われている事

 

それをとてもとても、嬉しく感じるのです。


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初 はてなブログ

新しい年を迎えて、何かを新しく始めてみたいと思った。

世間は重く、暗く、先の見えない日々が続いているが
霞む視界の先にある光を決して見失わないように。

「大人」「子供」

そんなものはただの称号でしかないと私は思う。

「大人」でも出来ないことはある

大事なのは、きちんと見定めること。


子供の頃憧れた、かっこよくて強い大人たち。
今も尚、先をゆき優しく手を差し伸べてくれる仲間たち。
純粋な気持ちで生きることを楽しむ子供たち


「ああいう人になりたい」「そういう風に振る舞いたい」
「あんな風に私も生きたい」

ふわり。ふわり。

浮かび上がるその光を真っ直ぐ見つめて、あの頃憧れた「大人」達のようになろう。

1歩、1歩。


そのための1歩を、わたしは 踏み出した。


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