おはなしの森

日々を過ごし感じること、思い浮かぶこと。世界はたくさんの物語で溢れている。

面白いブログを書くために

 

ブログとは、  

 

面白いものを書くと良いらしい。

 

それを聞いて僕は首を捻り呻いた。

 

「面白い」とは一体なんだ。

 

何をそんなに悩む事があろうかと、あなたは思うかもしれない。

けれど考えて見てほしい。

 

もちろん僕は面白いと感じることは沢山あるし、なんだったらお正月の夜更かしの時なんてそれこそ箸が転がるだけで翌朝、筋肉痛に悩まされるほどゲラゲラと笑い転げたりする。

 

ただ面白いものを書くならば僕はいくらでも書ける自信がある。

 

しかし、ブログに書くような「面白い」事は

 

みんな

 

「面白い」と思う事なのだ。

 

これは難題だ。

 

そもそも僕は笑いの沸点が低いし、

自分が脳内お花畑野郎と言われても仕方がないと思うほどには幸せなやつだ。

 

加えて人間というものはとても単純なものである癖に実に複雑なつくりをしている厄介なやつだ。

 

「個性」という言葉が生まれ、ソレが尊重されるほどに僕達は全然違う。

 

価値観や感性。

 

僕達は共感して理解は出来ても同じものにはなれない。

そう。同じ人間は誰一人としていない。

 

僕達はみな、特別な存在だ。

 

みんながバラバラで違うからこそ、僕はみんなが「面白い」事が分からない。

 

ブログのページを開いて白い画面にウンウンと頭を抱えていると、一部始終を見ていた彼女が「バカじゃないの?」と笑った。

 

「全員が面白いと思うものなんて誰にも書けるわけないでしょ?

世界は広いから、きっと2,3人くらいはアンタの「面白い」に共感する人が出てくるかもよ?

たった1人でも巡り会えたならそれは奇跡みたいなものじゃない?

それだけでやる価値はあると私は思うけれど。」

 

ぽかんと口を開けて彼女を見つめる。

 

目からウロコとはこのような事を言うのだろうか。

パラパラと覆っていた曇りガラスが剥がれ落ち、目の前が明るくはっきりと見えた。

 

「まぁ、好きにしなよ。別に強制されてやるようなものじゃないし。・・・書いたら教えてね?」

 

好きなだけ喋った彼女はニコリと微笑み教室から出ていった。 

 

もう一度白い画面に向き直る。

 

ひとつ、ひとつ。

己の中に溢れた言葉を丁寧に打ち込んでゆく。

 

誰かに聞いて欲しいのだ。

こんな僕の話を。


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